―――あなたに惹かれてまわりに集まってくる人たちがいる一方で、あなたのことを
思いきり敬遠する人がいるのがなぜだかわかる? あなたが時々、人が変わったみ
たいに残酷になるからよ。―――
―――頭の回転が速いあなたのことだから、たいていの相手なら言い負かすことが
できるでしょう。ちょっと言い過ぎたかなと思ったときは、それなりにフォローだってし
てみせるでしょう。そうしてあなたは、相手が黙ってしまったことで満足して、それきり
そのことを忘れてしまう。―――
―――あなたは自分のそういうところを強さだと思っているかもしれないけれど、私に
言わせればそれは、強さじゃなくてむしろ弱さだと思う。言うべきでない言葉まで我慢
できずに口にしてしまう、それはあなたの弱さよ。――ねぇ、私だって何も、すべての
人にいい顔をしなさいなんて言わない。自分の意見を主張することはもちろん大事よ。
相手の言っていることが間違いだと思ったら、対立しないわけにはいかない場合だって、
信じるもののために戦わなくちゃならないことだってあるでしょう。でもね、必要以上に
人を傷つけて勝ち誇るのはやめなさい。人をやり込めることで自分の優位を確かめる
その癖を直しなさい。でないと、いつかあなたのまわりには、ほんとうのことを言ってく
れる人が誰もいなくなるわよ。―――
―――なんでも斜に構えて、醒めたふうを装って、年寄りでもないのに傍観者の立場
ばかりとって。それで大人ぶってるつもりなら大きな間違いよ。そういうのって逆に、す
ごく子どもっぽくてカッコ悪いと思うわ。始めようとする前から、どうせ結果はわかってる
なんて、そんなの達観でも何でもない、ただ逃げ上手なだけじゃない。―――
("天使の梯子" 村山由佳 集英社)
久しぶりに本を読んだけど、
もっともっと読まなくちゃ・・・
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